『ノスタルジア』
おはようございます。アルトです。
昨日、久留米市にある石橋美術館に出かけました。石橋美術館といえば坂本繁二郎、青木繁、藤島武二、黒田清輝など日本近代画家の作品を所蔵していることで有名ですが、今回、旧久留米藩士郡山入植130周年の記念として久留米市の姉妹都市である福島県郡山市の郡山市立美術館所蔵のイギリス絵画など100点余りが特別展示されることになりました。
そういう経緯があってか、展覧会のタイトルは『ノスタルジア11.11.11-郡山市立美術館のイギリス絵画』というものです。ノスタルジア(nostalgia)とは「故郷をなつかしみ恋しがること。また、懐旧の念。郷愁。ノスタルジー。」(広辞苑より)とあります。明治11年11月11日がその入植日なのだそうです。何でも11月11日生まれの人は入館時に誕生日を証明できるものがあれば記念品が頂けるそうです。石橋美術館のホームページを見て確認されると良いでしょう。
さて展覧会ですが、イギリス絵画と言えばターナーを代表とする風景画に、先日鑑賞したジョン・エヴァレット・ミレイらラファエル前派の作品などが頭に浮かぶところです。しかし美術に余り詳しくない私などからすると未知の領域で、今回の展覧会はとても楽しみにしていました。
絵画鑑賞をより充実させるため、まずは500円で音声ガイドを借りて展示室に入りました。
作品には作家の数ほどに油彩のほか、水彩やエッチング、鉛筆など様々な材質と技法が使われていて、それを確認しながら鑑賞する面白さがありました。
ターナーの作品で《ストーンヘンジ》(1823年:エッチング、エングレーヴィング)は小さな版画絵でしたが、仮死状態にでもなったような羊の群れや雲の切れ間から落ちる雷の閃光など、ストーンヘンジというロケーションを借りて神秘的かつ劇的な一場面が緻密な線で描かれていて、しばらく顔を絵に近づけて眺めました。
ウィリアム・ブレイクの《ダンテの神曲のための連作(全7点)》(1826-7年:ライン・エングレーヴィング、ドライポイント)は以前読んだ『神曲』の挿画としてどこかで観たような気がしました。ブレイクの想像力と描写技術、そして表現力が強い印象を残します。
いずれにしても透明感がある絵画多く、どこかに工芸品のような趣を湛えて、生活の一部分にあっても自然で親しみのある作品のような気がしました。
リーフレットにも使われたサー・エドワード・コーリー・バーン=ジョーンズの《フローラ》(1868-84年:油彩、キャンバス)やダンテ・ガブリエル・ロセッティの《マドンナ・ピエトラ》(1874年:パステル、紙)は耽美で魅惑的な女性の瞳が印象的でした。現実にこんな青い瞳の女性はいるのだろうかと、極東の国の田舎おじさんは想像するのです。
さて、展示品も100点を越すと終盤はいささか凡人の眼力も衰えて来ます。“日英美術の交流”という展示コーナーには高橋由一ら日本人画家の作品も展示されていました。ここで今回の展示品の中で最も心引かれる一枚の絵と出合いました。
それは、牧野義雄《夜のリージェント・パーク》(1928年:油彩、キャンパス)です。漆黒の闇がリージェント・パークを包み込もうとする刹那、街並みの静けさと人間の鼓動のようなものがこの絵から聞こえてくるような気がしました。ガス灯の明かりが黄色く灯り、全体に群青色が支配する画面に都会の喧騒を打ち消す安らぎのような明るさを感じました。空の青が印象的です。
「うーん、お腹一杯」と声が出そうな位の展覧会でした。まだまだ絵の感想を書きたい所ですが、表現力の拙さをこれ以上露見させたくないのでこの辺でペンを納めることにします。
今、石橋美術館の周りはバラの花が満開です。沢山の種類のバラが綺麗に咲いています。絵で感動、花で癒された一日でした。
それでは、今日が素敵な一日になりますように。
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